輝度分布と質感の知覚

 ものの質感(光沢、明るさ)の情報は輝度分布の skewness という比較的単純な画像統計量から取り出せるし、脳はその情報を使っているのだ、という論文。


Image statistics and the perception of surface qualities
Isamu Motoyoshi, Shin'ya Nishida, Lavanya Sharan & Edward H. Adelson
Nature 447, 206-209 (10 May 2007)


 内容については筆頭著者(本吉さんというNTTの方)直々の日本語解説がこちらに。↓

http://www.brl.ntt.co.jp/people/imotoyoshi/material-j.htm

http://www.brl.ntt.co.jp/people/imotoyoshi/stucco1.jpg
(輝度分布によって質感が変わる。図は上記ページより。下図も。)


http://www.brl.ntt.co.jp/people/imotoyoshi/remapping.jpg
(光沢だけじゃなくて透明感とかメタリックな感じも単純な変換規則で出せそう、という例。)


 いかにもNature、いかにも西田さん絡みだなあという感じだ。Adelsonさんの名前も。


 検索したら某巨大掲示板(というか2ちゃんねる)での

新しくもなんともない。
画家とっくにしってた絵の描き方を、学者がやっと見つけてさも見つけたようにはしゃいでるだけ。


というつっこみを見つけた。そういう部分はあるのかも知れないけど、skewness というコンパクトな情報にしたという点と、脳が実際その情報を使ってるっぽい(モデル+順応実験)という知識とまとめたというところが学者としての仕事か。

 でも絵を描くときには脳で(不可逆的に)情報処理された結果を元にもう一度世界を構成しなおす必要があるわけで、その技法なり物理的な実態との乖離具合から何か脳情報処理のヒントが得られるということはあるのかも。