同じ部屋? 違う部屋? 模様替えした同じ部屋?

Pattern Separation in the Dentate Gyrus and CA3 of the Hippocampus
Jill K. Leutgeb, Stefan Leutgeb, May-Britt Moser, Edvard I. Moser
Science 16 February 2007 Vol. 315. no. 5814, pp. 961 - 966


 ノルウェーが誇る海馬界のトップランナー、Moser夫妻のところからまたScience論文。海馬における状況の分離について。


 ラットを「丸い部屋」と「四角い部屋」という2つの環境に慣らした上で、その中間形状の部屋*1に入れてみる。このときの海馬内Dentate Gyrus(歯状回、以下DG)とその投射先であるCA3の場所ニューロンの発火を記録すると、領野によってかなり異なる傾向が見られた、という論文。DGでは部屋の微妙な変化に応じて発火場所のパターンが(irregularに)変わったが、CA3はmorphingの度合いに応じて発火頻度が増減する(「丸い部屋」でのパターンから「四角い部屋」でのパターンに徐々に変わる)だけだった。


 DGの出力までは微妙な差異の情報が保持されているが、CA3の出力ではそれらの情報は吸収されて「丸い部屋」なのか「四角い部屋」なのかにカテゴライズされた情報になっている、という話らしい。それ以外にもいろいろやっていてかなり盛りだくさんな論文。結論の解釈が微妙によく判ってないので保留。

*1:丸から四角へmorphingできるような部屋になっている。