神経回路を全部見る

 ボスが出張から帰ってきた。出張先で聞いた話でもっともマッドサイエンティフィック*1だったのがこれということでメモ。


Toward a New Science of Connectomics
Sebastian Seung (MIT)
http://web.mit.edu/bcs/images/people/seung.gif

 全脳(あるいは組織)をスキャンし、3次元的に再構成して全細胞とその全結線(axonとdendrite)を同定してしまおうというプロジェクト。


 そのためにミクロトームのお化けみたいなのとベルトコンベヤーをくっつけて、スライスとスキャンまでを自動化するマシンを作成(これは既に出来ているらしい)。あとはナノメートル単位で得られた画像データから結線を再構成するべく画像処理をがんばります、ということらしい。


 Axonの最小幅が100nmぐらいというから、まあ10nmオーダー(10^-8m)の解像度でスキャンするとして、1cm(=10^-2m)オーダーの3次元データを扱うと、単純にピクセル数だけでも10^18個(8bits/pixelとして1EB(エクサバイト))。もちろんスキャンのずれとかいろいろ補正しながらだから・・・大変そうだ。


 でもこれが出来ると確かに有用そう。ヒトゲノムプロジェクトみたいに、神経科学における基本的なデータベースになるのかも。Two-photon imaging やったあとでこれにかけて、みたいなことが簡単に出来るようになれば、神経科学が進歩する速度は相当に上がりそう。2020年ぐらいまでには出来るかな?


関連論文:

Serial block-face scanning electron microscopy to reconstruct three-dimensional tissue nanostructure.
Denk W, Horstmann H.
PLoS Biol. 2004 Nov;2(11):e329. Epub 2004 Oct 19.


ついでにメモ。こんなページも。
brainmaps.org

*1:別に悪口ではない。