グリッド細胞のremapping、primate hippocampus
Hippocampal remapping and grid realignment in entorhinal cortex
Marianne Fyhn, Torkel Hafting, Alessandro Treves, May-Britt Moser and Edvard I. Moser
Nature 446, 190-194 (8 March 2007)
またMoserラボから。entorhinal cortexのいわゆるグリッド細胞のremappingについて。
内容はしげさんのトークのまとめが詳しい。
場所細胞、グリッド細胞の話は文句なしに新規性があって面白い。ただいつも浮かぶ素朴な疑問は:
- ラットではそうかもしれないけど、もっと視覚の発達した動物でもこういうコードをしているのか?
- 鳥とか魚は3次元グリッド?
- そもそも場所の把握というのはそれほど重要なのか? 重要は重要なんだろうけど、海馬という特殊回路をそんなに占有していても良いのか。それとも別に占有はしていなくて、単に今は場所コードが注目されているだけで、本当はまた別の情報と一緒にコードされていたりするのか。
1つ目について調べたら、macaque で調べた論文があった。
Spatial view cells and the representation of place in the primate hippocampus
Edmund T. Rolls
HIPPOCAMPUS 9:467–480 (1999)
A view model which accounts for the spatial fields of hippocampal primate spatial view cells and rat place cells
I.E.T. de Araujo, E.T. Rolls, S.M. Stringer
HIPPOCAMPUS 11:699–706 (2001)
(ET ROLLSさんって Computational Neuroscience of Vision の人か)
2.5m x 2.5mの部屋でサルを自由に歩かせて海馬単一細胞から記録(すごいなこれ)。サーチコイルで視線も計測したら、基本的に「place cell」は見つからず、その代わり環境中のある場所(たとえば壁の一部分)を見ているときに反応する「spatial view cell」があった、とのこと。またCA1の細胞の中にはそのコードする壁がカーテンで隠れていても、また完全に部屋を真っ暗にしても反応するものがあった。つまり単なる visual response ではなくて空間上のある場所を見ているという情報をコードしている、とのことらしい。
2本目の論文では視野の広さ等を考えると place cell (視野が広い動物)と spatial view cell (視野が狭い動物)を統一的に考えることが出来る云々という話があるけど、ということは primate では spatial view に関するグリッド構造があったりするんだろうか。