人はみな馴れぬ齢を生きている

 年を取った記念日(付近)ということで日本にいる友人が同好の趣味に関する雑誌や新聞の切抜きを送ってくれる。思えば長らくこういう密度の日本語というのを読んでいなかった。感謝。タイトルはバイオ系歌人?による一首から。

人はみな馴れぬ齢を生きているユリカモメ飛ぶまるき曇天  永田紅


 バイオ系歌人といえば斉藤茂吉もそうだったらしい。histology の歌があったり。こんなのも。

をりをりは脳解剖書読むことありゆゑ知らに心つつましくなり  斎藤茂吉

 20世紀初頭の精神科医が思う「ゆゑ」とはどういうものだったのだろう。ほぼ100年経った今でもつつましくなるのは変わらない。