秋の日々、院生、バッカス

  • (A)実験をしながら、(B)実験の仕方を教えながら、(C)学会発表の準備をしていたので、非常に忙しいこの頃だった。(A)と(B)が片付いたのが先週末で、もう学会まで1週間を切っているという状況だったのだけど、とりあえずなんとかなりそう。
  • 午前帰りになる日でも、女の人が一人で道を歩いているのを見かける。この街は安全なようだ。
  • 前に住んでいたところは人口40万人程度の市なのに毎年100件ぐらい殺人事件が起きていた。一応その中でも例外的に安全な区域に住んでいたのだけれど、5ブロックも離れれば何が起こるかわからないというところだった。夜中に道に迷ったりしたら致命的だ。でもなんとか生き延びた。
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  • こちらの大学院生はかなりの割合で大学院に入る前に企業や大学の研究室でテクニシャン等としての経験を積むらしい。いわゆるトップレベルの大学院・ラボに入ろうと思ったら、学部卒でいきなり応募しても蹴られる可能性が高いので、経験を積んで良い推薦状を何枚か書いてもらえるようになってから来るのだとか。この点では inoue0 さんが提案されている博士課程入学前の職業経験義務付け案は事実上一部実現されている。
  • そういうこともあってか、みなさん優秀でよく働くと思う。うちにいる院生にしてもハーバードとかMITとかUCバークレーとかコーネルとかを出て、外部で経験を積んで、それからうちに来ているわけで。そして今実験を教えている彼もそのうちライバルになるわけだ。大変だなあ。
  • ちなみに彼らの元勤務先の例としては、製薬会社、IT企業、デザイン会社、空軍、大学の研究室など。必ずしも現在の研究と直結しているとは限らない。
  • それでも、博士号をとっても職がないというのはいずこも同じというか、Nature Neuroscience にもそんな記事が。

    Supply-side academics
    Nature Neuroscience 10, 1337 (2007)
    Editorial

  • 競争が激しすぎる、任期なしの職を得るのに40歳代まで待っても良いと思うやつはあまりいない、回りが全てライバルなので研究者間での情報共有を嫌がる傾向が出てきている、等々。なぜか理研が褒められている。代替策としてスーパーテクニシャンみたいな道を目指すのもありとか。
  • たぶん良いニュースとしては、日本の神経科学に関する予算は最近また増える傾向にあるらしい。
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  • 今日はハロウィンだった。オフィスで仕事をしていたら隣のラボの学生がワインを持ってやってきた。彼曰く、バッカスの扮装をしようと思ったのだけど寒すぎるからやめた、でもワインを注いであげるからこれで扮装をした扱いにしてくれ、と言われる。どんだけ適当なんだというか何に言い訳をしているのかよく判らないのだけど、とりあえずワインは頂く。夕方から。たまにはこういうのもありか。


バッカスWikipediaより)
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/dd/Michelangelo_Caravaggio_007.jpg/250px-Michelangelo_Caravaggio_007.jpg