赤池氏永眠
AIC(赤池情報量規準)の赤池弘次さんが亡くなったらしい。享年81歳。日本人の名を冠した業績で、これほどよく利用されているものを他に知らない。
ちょうどラボに遊びに来ていた統計の院生(イスラエル人)がAICを使ってL0ペナルティの実装云々という話をしていたので、その赤池さんが先週81歳で亡くなったんだと言うと、「若っ!」と言って驚いていた。ちょっと不思議な反応ではあるのだけど、重要な業績を残した人は昔の人に思えるという感覚は判る。
訃報: 「AIC」を編み出した赤池弘次氏 (元統計数理研究所長) が死去
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数理統計の人は業績に人名をつけるのが好きなような気がする。概念を簡潔に形容しがたいから、ということも関係するのだろうか。ベイズ推定もフーリエ変換も元々は人の名前。でもこのレベルになると単語自体が個人名を離れてある種のクオリアをまといだしているようにも思う。フーリエの頭文字がFだったのも歴史の偶然ながら連想記憶的な意味で良いことだったと思う。
母国人の名前だったら名前そのものの語感を払拭するのは難しいだろうか。「徳川推定」とか「綾小路変換」など。
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神経科学者はあまり業績に人名をつけることを好まないようだ。シュワン細胞などが例外か。しかもヘブ則とは言うけどプー則*1とは言わないところを見ると、だんだんその傾向が顕著になってきているのかも。よほど新規性があってかつ形容しがたいことを発見しないと名前つき法則の栄誉を得るのは難しそう。
「田中野で酒井・宮下連合が起きることを小川式共鳴法で調べられるかは藤田柱サイズでの効果が存在するかどうかに依る」とか言ってみる。この辺りの古典は日本人科学者の貢献が結構大きいと思う。
*1:サックマン則?