脳内コードついに解明?


 コンピュータでは0と1の2種類、DNAでは ATGC という4種類の符号(コード)が使用されているが、前頭前野を含む高次脳領野においては31種類の離散的なコードが使用されていることが判りました、という衝撃的な論文。


Discrete coding in prefrontal cortex.
Abril F et al.
Nature Biophysics Epub Apr. 1, 2007.


 脳内で情報はどのように符号化されているのか? この神経科学における基本的かつ重要な問いに対し、これまで

  1. 発火頻度 (rate coding)
  2. 発火の時間差・パターン (temporal coding)
  3. 発火と大局的な oscillation pattern との位相同期

等の可能性が議論されてきた。今回の Abril さんの論文では、Two-photon calcium imaging 法を用いて前頭前野の細胞活動を同時記録し、当該領野における符号化法について調べた。その結果、前頭前野において(1)神経細胞の発火、 (2) Gamma oscillation および (3)周辺のグリア細胞のカルシウム応答、という3つのパラメータの相対的な関係にある離散的なパターンがあることが判った。


 この離散的なパターン、およびそれらと個体の行動との関係を詳細に調べた結果、

  1. 離散パターンは標準的な個体で31種類存在した。
  2. 離散パターンそれぞれの出現頻度及びその時間的な関係にはある構造が見られた。このことは離散パターンを構成する「文法」があることを示唆する。
  3. ある種の離散パターン列と個体の行動には強い相関が見られた。相関には約150msの時間差があり、その前後関係は離散パターン→行動であった。つまりパターン列から個体の行動を予測することが可能である。

 これらの結果は、今回発見された離散パターンが(少なくとも高次領野における)情報符号化をになう「神経語」であることを強く示唆する。



関連論文


追記:このエントリはエイプリルフールネタでした。次に神経科学でノーベル賞が出るとしたらこんなのもありかなと。脳関係では他にもAppleGoogleのコラボレーションで神経デバイスを用いた新サービスiBrain、iMatrixが始まったり(shuzoさんの報告)、心臓に記憶があることが実験的に確かめられたり(sivadさんの報告)しました。