I Survived A Japanese Game Show


 カナダ滞在中にたまたまテレビで見た「I Survived A Japanese Game Show」というリアリティ番組アメリカ ABC 配信)が興味深かった。基本的な作りは通常のリアリティ番組と同じで、一般参加者が様々な試練を受け、最後に残った勝者が豪華賞金・特典を得るというもの。普通のリアリティ番組での目的は歌手を目指す・料理長の座を獲得する等なのだけど、この番組ではアメリカ人の一般参加者が日本の(架空の)ゲームショー番組に参加して勝ち残るのが目的。つまり架空の番組内番組(「本気で(まじで)」)での勝負を舞台裏も見せながら進めていくというひねった構成の番組。


 ABCの番組なので、放映された全エピソードが Web 上でも公開されている。

 http://abc.go.com/player/
 (追記:アメリカ国内の IP アドレスでないと視聴できないらしい。コメント欄 nozawa さんによるご指摘。)



 ロケは日本でやっているらしく、一応「本気で」の司会者・観客等は日本人っぽいのだけど、ノリがおかしい。1980年代から2000年代のテレビを混ぜて反応を大げさにしたような感じ。ちょっと「Lost in translation」を思い出す。例えば、司会者が審査員を紹介しても審査員が何も言わないので「Say something!(何か言ってよ!)」というと審査員が「Something!(何か!)」と叫んで観客(日本人)大爆笑。わけが判らない。誰が誰を面白がっているのか、どういう皮肉なのか、どこまで狙ってやっているのか、ネタ・ベタ・メタが混在する独特の雰囲気。


 ゲームショーという題材の性質のせいか、出てくる日本人がちょっと意地悪に描かれているような気がした。司会者からして「このゲーム面白いですよねー、もう勝ち負けとかそんなのどうでも良くて、誰かが水に落ちたらそれが面白いんですよ!」とか言い出す(なお司会者は場面に応じて日本語も英語もしゃべるのだけれど、必ずしも全ての日本語に英語字幕が表示されるわけではない。つまりアメリカ人が見ても台詞の一部しか理解できない)。そして誰かが失敗すると観客の日本人は鳴り物を鳴らして大爆笑。


 ゲームの仕組みも結構きついもので、参加者は2チームに分かれて対戦する。で、負けたチームの中から敗北に責任のある2人が選ばれて脱落者を決める対戦ゲーム(1人脱落、1人はそのまま次週に残る。)に参加するのだけど、この脱落ゲームへ参加する2人を誰にするかはチーム内の話し合いで決めなくてはならない。当然チーム内の雰囲気は険悪になる。


 日本人は意地悪、というステレオタイプがあるのかも。ある種の日本のゲームショーを見ているとそう考えるのも無理もないかも知れない。考えてみれば挑戦者の誰かが失敗するのを見て第三者(観客)が哂うという日本のテレビでよく見かける構図は、アメリカではほとんど見たことがない。アメリカ人の目から見たらそういった構図は相当奇異に映るはずで、「本気で」の中ではその奇異さが強調されて表現されているように思える。正直なところあまり気分は良くない。


 このひねった番組は、このままの雰囲気で進んでいくのだろうか。それとも週が進んでいくうちにまたもうひとひねりあるのだろうか。リアリティ番組が本当にベタに進行して行っているのかは一般に怪しいものだと思うけれど、この番組は日本人観客の不自然さも相まって、かなり「作っている」感が強く漂う。そうすると演出を仕込める部分も多く出てくるわけで、その辺をちょっと楽しみにしたい。考えすぎだろうか。

追記: tomo_macintosh さんのブログでも画像付きで紹介されています。やっぱりずっと「ム番組を生還したぞ」になっているのはネタなんでしょうね・・・。