「なぜ日本の車はみな逆走しているの?」


 ちょっとしたホームパーティーに呼ばれたので行く。一世代ほど上のアメリカ人女性と話をする。その人は仕事で何度か日本にも行ったことがあるらしく、日米の仕事の仕方の違い等について話す。そんな中で、


「なんで日本の車はみんな逆走してるの? あれ気持ち悪くない?」


なんてことを仰るので、いやそれはアメリカ人視点からはそうでしょうけど日本人から見たらアメリカの車の方が逆走して見えますよ、というと、


「でも現代的な自動車はアメリカ起源の技術であり文化だからアメリカのやり方が標準であっていいはずなのに、どこで逆走させようと思ったの?」


と言われる。はあ、なるほど。その発想はなかった。たぶん日本が近代化した頃にはアメリカよりイギリスをお手本にしていたので、その影響なのかな? と言うと一応納得してくれた様子あとで調べたところ、この説明でそんなに間違ってはいないらしい。ついでにいうとガソリン車の起源はドイツ。大量生産・大衆化の起源はアメリカ)

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/ec/Sens_de_circulation.png/800px-Sens_de_circulation.png
(赤が右側、青が左側通行の国。Wikipediaより)


 なんとなく、カラー柔道着の導入云々のときにそんな気持ち悪いことはやめろと言った日本人と似たようなものなのかな、と思った。コモディティ化したものでも、どこかの誰かは「あれはうちが起源」と思っているということか。そう考えると、TOYOTAやHONDAに席巻されているアメリカ車産業に対する(アメリカ人の)思いは、外国人力士ばかりが強い相撲界に(一定の日本人が)感じる居心地の悪さに通じる部分もあるのかも。


 そう考えるとちょっとアメリカ人もかわいそうに思えてくる。彼らの発明はあまりにも一般性があるので、急速にコモディティ化してあまり起源として尊敬してもらえない。日本語みたいにあからさまに外国語っぽい名前でもついていれば違うのかもしれないけど、英語だしな。

 (でも ubuntu南アフリカで開発されたと思う人はあまりいないとか foreign branding みたいなことを考えると、この辺もあいまいになってくるのかも。しかし foreign branding で名前をつけてもらえるってすごい栄誉だ。)