今日の錯視:Filling in the Afterimage

これ面白い。van Lier & Vergeer: Filling in the Afterimage after the Image (Best visual illusion of the year contest: 2008 First prize) (via:Radium Software) 中心の点を見つめていると、横の画像に色が付いて見える。しかも形(傾き)によって違う…

今日の小ネタ:自乗は早い

もしかして常識的なことなのかもしれないけど、matlab で計算すると累乗の中で 2 乗はとても速い。 (matlab で実数行列の(要素ごとの) p 乗をそれぞれ 10 回計算し、かかった時間をプロットしたもの。) どうも特定の(よく使われる?)数値に特化した最…

生き物としての雑感

秋には子どもが生まれるという同僚と話していて思ったこと。 アメリカにおける科学者の、わりとうまく行った場合のキャリアパスはこんな感じだと思う:20歳代後半で博士号を取り、ポスドク(Postdoctral fellow)として各地の研究室を渡り歩きながら経験と…

名詞の「意味」モデルを用いて脳活動を予測する。

Predicting Human Brain Activity Associated with the Meanings of Nouns Tom M. Mitchell, Svetlana V. Shinkareva, Andrew Carlson, Kai-Min Chang, Vicente L. Malave, Robert A. Mason, Marcel Adam Just Science 30 May 2008:Vol. 320. no. 5880, pp. …

休日の収穫 Stand Alone Complex

今更ながら、攻殻機動隊 Stand Alone Complex (S.A.C.)という日本のTVアニメシリーズ(2002, 2004)を見た。面白かった。 原作の漫画と一本目の映画は大分前に見たことがあって、まあまあ面白いなあというぐらいの印象だったのだけど、TVシリーズはそれ…

ミクロとマクロ雑感

神経細胞の状態変数と遷移規則を全部書き連ねることが出来るなら、原理的には神経系の全ての挙動をオートマトン的に記述・予測することが出来るはず。今のところスパイク応答等の短期の現象に関わる状態変数と遷移規則については Hodgkin & Huxley モデルや…

景気刺激策

政府による景気刺激策の一環として、国税庁からうちの口座に 600 ドルほど振り込まれていた。 米国、所得税の「戻し減税」始まる 景気刺激なるか 2008年04月29日 AFPBB News 約1億3000万世帯を対象に、総額で約1520億ドル(約15兆8400億円)ほどキャッシュで…

matlab で GPGPU

いわゆる GPGPU (General Purpose GPU) 的なことを matlab (ひいては Python/Java/C/C++)でやるためのラッパーを作っている人たちがいて、近くでデモをやるというので見に行った。 現時点で汎用の CPU よりもビデオカードに載っている GPU の方が計算性能…

5月半ば

統計・機械学習をやっているラボとの共同研究が良い感じになってきたので、最近はその系統の論文をちょこちょこと読んでいる。気付いたのは、わりと基本的に思えるような技術でも最近になってやっと研究が進んできたようなものが結構あること。コンピュータ…

ある神経科学者の会話

「脳みそは結局のところ動き回るために必要なんだ。だから動物には脳があるけど植物には脳がない。海に住む生き物の中には、生まれてからしばらくの間は動き回るけど、ある時点で定住の地を定めてそこから一生動かなくなる奴がいる。で、彼らは定住の地を決…

博士適性試験

一緒に実験をしている院生の Qualifying exam が終わった。 こちらの大学院では、大学院に入ってある程度経った時点(〜数年。研究科による。)で Qualifying exam、通称 Quals と呼ばれる博士適性試験を受ける。で、この試験をパスしたら Ph. D candidate …

ランダム Wikipedia

ユーザーインターフェース研究で有名な増井俊之さんのブログ「界面潮流」の記事に触発されて、ランダムに Wikipedia の項目を表示するというガジェットを付けてみた(右コラム→)。とりあえず日本語と英語の項目を1つずつ表示。 2つのランダムに選ばれた項…

SpAM

SpAM (sparse additive models) というのは良いかも。 Sparse Additive Models Pradeep Ravikumar, John Lafferty, Han Liu, Larry Wasserman arXiv:0711.4555v2 Wed, 9 Apr 2008 というモデル化をして、説明変数の行列 X (NxP) と目的変数ベクトル Y (Nx1…

物理シミュレーション

無料で遊べる物理シミュレータがいろいろあるらしい。メモ。 Phun 2D物理シミュレータ。絵を描いたらそれが物理法則に基づいて動き出す。 OE-CAKE! 日本製の2D物理シミュレータ。同じくお絵かき的に使える。熱の概念があったり、写真を貼り付けたり出来…

日本は飢餓状態?

ボスがいきなり「いま日本は飢餓状態だというのは本当なのか?」と聞いてくるので、なんだそりゃと思って調べたらどうもこういう記事を見たらしい。 Japan's hunger becomes a dire warning for other nations Justin Norrie, Tokyo April 21, 2008 theage.c…

神は差異に宿る

今日の言葉遊び。 「神は差異に宿る」 とか言ってみる*1。 もちろん元は 「神は細部に宿る」 (God is in the details) 物理や数学の神様のことはあまりよく知らないのだけど、少なくとも脳みその神様はあまり細部にはこだわっていないような気がする。光走…

追悼: Edward Norton Lorenz

Edward Norton Lorenz (1917-2008) 気象学における天気および気候の予測問題の理論的基盤を固めて、現代の大気物理学・気象学のコンピュータによる研究基盤を確立するとともに、それに伴う決定論的カオスの発見によって、ニュートン以来の近代科学の自然観に…

Blender + python

3次元的な概念図やその他もろもろの作図をする必要があったので、ちょっと Blender + python を試してみた。ただ試すだけではすぐにやったことを忘れるので、備忘録を以下のサイトにまとめる。 Blender + python 備忘録 スクリプト言語 python でレンダリン…

知覚とコラム構造、安定性など

Bruce Cumming さん (@NIH/NEI) のトークがあるというので聞きに行く。初期視覚野における両眼視差表現の専門家で、今回はそれに知覚(判断)と神経活動の相関(choice probability)の時間的推移の話やコラム構造の話を絡めることで、ボトムアップを超えた…

ハイブリッド脳によって実現された知性

Abril F さん(@Loof Institute)のトークがあるというので聞きに行く。神経回路の大規模計算機シミュレーション(”バーチャル脳”)の権威。今回は神経生理学者との共同研究で、マウス脳とバーチャル脳をつなげることでハイブリッド脳を生成。その動作検証の一…

公共事業としての科学

日本では景気・雇用対策の一環として建設業が大きな役割を果たしている。アメリカではある程度それに類する形で、軍事産業が同じ役割を果たしているように思う。しかし両者は環境あるいは人類に対する悪影響が大きい。またどちらも一定のレベルを超えるとそ…

tax return

アメリカは確定申告の季節。今年はラボでも人気の TurboTax というオンラインソフトを使ってみたら、数時間で終わってしまった。こちらに来た初年度は大学主催の外国人向け講習会に行ったり研究留学ガイドや若菜さんのページを見ながらほぼ丸1日かけて申請…

「面白いからです」とNicolelisさんは言った。

Miguel Nicolelis (@Duke University) さんのトークがあるというので聞きに行く。脳・マシン・インターフェース*1の大御所。内容はあまり目新しくなかったので雰囲気のメモ。 (Nicolelis さんとロボットアーム。BBCのページより) 運動領野にある多数(〜数…

論文数とビール消費量の関係

科学者の論文数とビール消費量との間には負の相関があるらしい。 For Scientists, a Beer Test Shows Results as a Litmus Test By CAROL KAESUK YOON The New York Times, March 18, 2008 たぶん元ネタとなった論文はこれ。A possible role of social activ…

今日の雑談

ラボで話していて、DARPA(国防高等研究計画局)からお金をもらうことについてどう思うか、という話になる。国防省のヒモ付き予算。うちのラボは(幸いにも?)これまでのところ DARPA への予算申請をするに至ったことはないのだけど、わりと身近な神経科学研…

SFAA翻訳 [13-24]-[13-25]

SFAA翻訳。第13章の続き([13-24]-[13-25])。optic_frog さんが後の部分を担当してくださったので、第13章は一応これでおしまい。あとはレビュー。 (第13章の続き) 健全な質問の精神を推奨する。 科学、数学および技術は、それらを実践している人々による…

SFAA翻訳 [13-21]-[13-23]

SFAA翻訳。第13章の続き([13-21]-[13-23])。 (第13章の続き)科学教育は科学の価値を反映したものであるべきだ。 科学は単なる知識の集合以上のものであり、またその知識を蓄積したり正当性を確認する手法以上のものである。それはいくつかの人間の価値を…

SFAA翻訳 [13-18]-[13-20]

SFAA翻訳。第13章の続き([13-18]-[13-20])。 (第13章の続き) チームで学ばせる。 科学及び技術研究の持つ協同的な性質は、教室で頻繁にグループ活動を行わせることによって強く補強するべきである。科学者や技術者はほとんどの場合グループで仕事をして…

方位コラム構造と選択性・種間比較・ネコの夢

今週号の Neuron から。Ringach ラボと Carandini ラボの共同研究。 Neuronal Selectivity and Local Map Structure in Visual Cortex Ian Nauhaus, Andrea Benucci, Matteo Carandini and Dario L. Ringach Volume 57, Issue 5, 13 March 2008, Pages 673-6…

SFAA翻訳 [13-14]-[13-17]

SFAA翻訳。第13章の続き([13-14]-[13-17])。 (第13章の続き) 証拠の収集とその扱い方に注目する。 生徒が与えられる課題は、――その成熟段階にふさわしい範囲で――その課題に関係のある証拠は何かを生徒が判断することが要求され、またその証拠が何を意味…